飲食店経営者のための確定申告ガイド|自力で進めるポイント 令和6年版

飲食店経営者が把握すべき申告の基本
申告が必要な方と基本の流れ
飲食店を営んでいる方は
売上が一定額を超えた場合や青色申告を選んでいる場合には、確定申告が必要です。
確定申告は、所得税や住民税を正確に計算するための重要な手続きで
正しく行うことで過剰な納税を防ぎ、還付金がある場合は確実に受け取れます。
収入と経費の計上方法:青色申告と白色申告の違い

確定申告には青色申告と白色申告があり、飲食店経営には節税メリットが多い青色申告がおすすめです。
特に会計ソフトを利用(複式簿記での記帳を)していて
期限内に電子申告で提出すると
「青色申告特別控除」として65万円控除できるので、経営が安定している方や節税を目指す方は検討してみましょう。
令和6年分の減税・控除の概要
定額減税と給付について R7.1.26加筆
定額減税は、令和6年の6月から所得税と住民税に分けて実施されています。
住民税は、令和5年の所得から計算した確定住民税から一人当たり「1万円×(1+扶養親族の数)」を控除して完了でした。
しかし、所得税は令和6年分の所得の確定は、確定申告が済まないことには確定しないので、控除額も確定しません。そこで、令和6年の所得を令和5年の所得とみなして、年税額が「3万円×(1+扶養親族の数)」に満たなそうな人に対して「調整給付」を実施しました。
ここでは、確定申告書に必要な部分に絞ってお伝えします。
確定申告書への記載
まず、確定申告書の記載に関しては
例年通りの計算をして㊸に再差引所得税額を記入します。
次に㊹で、3万円 × (1+扶養親族の数)を計算して減税額を記入します。
㊸>㊹であれば、差引した税額を㊺に記載します。
㊸<㊹であれば、㊺は0円と記載します。

R7.1.30追記
令和6年の確定申告書の第二表〇配偶者や親族に関する事項の一番右に、その者が申告者の定額減税の対象となる扶養親族である場合には、「2」を入れる事ことになっています。
お忘れなく!

定額減税適用漏れについて
最後に、事業専従者に関して注意点があります。
そもそも、事業専従者に対する給料は所得税の特例として給料として認めている代わりに、金額の多寡にかかわらず、事業主の扶養親族から外れます。
よって、今回の定額減税の計算上も、扶養親族の数に入れることができません。
事業専従者が年間103万円以上の給料をもらっていれば、本人分として定額減税を受けられるので不公平は生じないのですが、100万円未満に抑えて、住民税も所得税もかからない金額に抑えていた場合は、どこからも定額減税分が引けない状態になっています。
そこで、細かな規定は決まっていませんが、令和7年の事業主の住民税で調整する案が出ています。
非課税事業専従者分の定額減税が貰えます R7.3.6追記
住民税も所得税もかからない金額に抑えてた
事業専従者の定額減税の扱いが決まりました!
チラシにあるように、事業主が書類を揃えて市区町村に申請します。
具体的な扱いは、市区町村によって違いがあるようなので、各市区町村のホームページで確認してください。

確定申告書の第二表に専従者給与(控除)額を記載する欄があります。
ここに忘れずに、専従者給与の金額を記載しておいてください。

確定申告書を税務署に提出すると、自動的に住民税の計算用に市町村にも報告されます。
この欄に記載があれば、専従者分の定額減税の調整が漏れる事は無いと思われます。
税務署から送られてくるお知らせは保存しておく
今年は、予定納税の段階で既に定額減税を受けている可能性があります。
その為、第1期と第2期の予定納税額が同額ではない可能性があるので、年明けに送られてくる「確定申告等についてのお知らせ」は紛失しないようにしましょう。
給与等の増加で適用できる「所得税の特別控除」
飲食店経営者が特に注目すべきは、従業員の給与を増加させた場合に適用できる「所得税の特別控除」です。
他人従業員を雇っていらっしゃる方は、こちらの記事もあわせてご覧ください。
よくある申告ミス
飲食店経営者が陥りやすいミスには
賄いやキャッシュレス売上の計上漏れ
棚卸が税込金額で処理(過大計上)などがあります。
ミスに気付いた場合は、申告期限内であれば再提出が可能なので、期限内の再確認を徹底しましょう。
税理士に頼むべきか?飲食店経営における専門家を活用するタイミング
税務や申告の手続きを自分で行うか、税理士に頼むべきか、迷われる方も多いでしょう。
税理士の立場から申し上げると、消費税の納税が始まったら、税理士に頼むタイミングだと感じています。
税理士に依頼するメリットは、確定申告を効率的に進めるだけでなく
専門的な節税アドバイスや
必要書類の整備を任せられることです。
申告作業に不安がある場合や
時間を効率的に使いたい場合には
税理士に相談することも検討してみましょう。
以上が、令和6年分の確定申告に向けた飲食店経営者のためのガイドです。
早めに申告準備を進めて、過剰な税負担を回避し、正確な申告を行いましょう。
ご質問や疑問点がございましたら、コチラから聞いてください。