棚卸を変えればお金が残る!食材の指定席ルールで資金繰り改善

この記事の最終更新日:令和7年6月17日

飲食店って、商品を作りながら売る特異な製造業なんですよね。そのため、売れるまでの工程が多く、一工程での「滞留」は少しでも、お店全体で考えると大量の「滞留」が発生してしまい、手元には現金が残りにくいんです。

例えて言うなら、「滞留」は血管にへばりついたコレステロールのようなものです。
売上が増えれば増えるほど増加して、お金の流れを悪くしていきます。

「えっ、売上が伸びてるのになぜ?」と思ったあなた、大正解です!
数字だけ見てると元気そうに見えても、棚卸という見えない「コレステロール」が実は店の資金繰りを圧迫しているんです。

あなたのお店は大丈夫?棚卸量が適正かを判定する方法

ここで一度立ち止まりましょう。
あなたのお店の「棚卸量(たなおろしりょう)」、つまりストックがどのくらいあるのか、計算してみませんか?

棚卸量(日数)=(当月末棚卸高 ÷ 当月の原価率) ÷(当月売上高 ÷ 営業日数)

棚卸量についてはこちらの記事で、例題を使って詳しく説明しています。

  • 5日以内 → 適正。うまくコントロールできています
  • 5日超 → 要注意!。過剰な在庫が利益を食いつぶしている可能性大

5日分以上もあるということは、循環するお金が乏しくなっていることを意味しています。
売上を追うより先に、まずはここを整えるのが重要です。

在庫を減らしてお金を残す!2つのポイント

1.「上手な仕入」を身につけよう

  • 安さに惑わされないこと:「2個で1500円だと1個当たり750円!」とお得に感じるかもしれませんが、2個目を使い切ってはじめてお得になるのです。
    使い切るペースが遅ければ、廃棄リスクや風味劣化が発生しやすくなり、結局ロスが増えることもあります。
  • 適量・適時の仕入れ:たとえ単価が高くても、小ロットでちょこちょこ仕入れるほうが、廃棄や劣化を防ぎトータルコストを抑えられます。

2.食材を「増やさない」管理法 (詳しくは、付録をご覧ください)

  • 事前準備:業者・形状・使用頻度を分析し、すべての食材の定位置を決めましょう。
    100均グッズで仕切りやラベルを活用し、「指定席制」を徹底するのがコツです。
  • 長期休暇前の在庫一掃:お盆や年末年始などの前に、生鮮以外の在庫は可能な限り減らしておくのが効果大。
    一掃できたらスペースを掃除してクリアにすれば、管理しやすい環境が整います。
  • 指定席に戻す習慣:未使用品や他の食材を「一時保管場所」に置かない。これで誤発注も削減できます。

この2ステップを取り入れることで、食材の腐敗や仕入れミスがグッと減り、お金の流れもスムーズになります。

売上アップより、まず整えるべき「利益体質」

集客やメニュー刷新に力を注ぎたくなる気持ち、すごく分かります。
でも、コレステロールを減らしてお金の流れを確保しててから売上を増やさないと、逆にコレステロールが増えてしまい、せっかくの努力が水の泡になってしまいます。

まずは自分でコントロールできる部分、つまり棚卸やその管理を改善する方が、手応えを早く得られます。

もし、こまめに配達してくれる業者がいるなら、欲しい量・頻度で発注を受けてもらうよう配達条件の見直しを交渉するのもアリです。
これができると、在庫管理の負担がガツンと減りますよ。

あなたのお店の棚卸、見直してみませんか?

  • 「初めて棚卸量を計算したら6日以上だった」
  • 「コレステロールが溜まりすぎて、手元が寂しい」
  • 「まずは正しい方向で棚卸管理したい!」

そんなあなたのために、「棚卸診断」や「仕入れプラン見直し」のご相談を無料で受け付けています。
お問い合わせいただければ、以下のようなサポートをご提供します。

  • 現在の棚卸日数の診断と改善目標の設定
  • 店舗ごとの適正在庫プランの作成
  • 実践できるチェックリストとフォローアップ

(付録)ストック(棚卸)を増やさない食材の管理法

これから紹介する、食材の管理法を実践してもらうと

  • 食材の所在が判り易くなる
  • 誤発注が減る
  • 誰でも、指示された食材を探すことができるようになる

準備がチョット大変ですが、軌道に乗ると効果はすぐに実感できます。

0.事前準備

事前に

  • 業者・形状・使用頻度等を考えて、全ての食材の置き場所を決める
  • 100均などでマグネットシート、仕切り板、タッパーなどを購入する
  • 頻繁に購入しない食材は、劣化防止の観点から、容量を小さいものにできないか調べる

1.食材を減らす

私は、この方法を実践するベストタイミングは
お盆休み等の長期休暇前だと思っています。

この時期は、生鮮食料品は腐りやすくなっていますので
そもそも余分に購入はしていません。

あとは、生鮮食料品以外の食材
例えば、調味料の類を極力減らしていきます。

使い切るくらいの意気込みで、減らしてください。

発注の必要がありそうな場合も、家庭用でつなぐなりして
業者への発注は、お休み明けにしてください。

やってみると判るのですが、意外に、なんとかなります(笑)
今までのようにストックしなくてもやっていけそうな気になります。

で、長期休暇前に、食材を保存するスペースを掃除します

計画的に食材を減らしてないと、掃除自体が苦行になります。
くれぐれも、生鮮食料品以外の食材は極力減らしておいてください。

2.食材を定位置に収納する

事前に決めた置き場所に
準備したマグネットシートや仕切り板などを使って
表札付きの指定席を確保します。

指定席を確保することで、余分にストックすることができなくなります。
又、残量が一目で分かるので、誤発注を防ぎます。

(注)どんなにスペースが空いているからと言って
指定席以外の場所には置かない。

この方法に慣れてくると発注者は
表札の下のある量を確認して注文をするようになります。
仮に、隣の食材が仮置きしてあっても
指定席の食材があるものと思い込んでしまい
注文を先延ばしにする可能性があります。

実際に使う段になって、隣の食材だった!ってことで
欠品が出る可能性があります。

空席には、空席の意味がありますから
勝手に他の物を置かないルールを徹底してください。

最後に

飲食店にお金が残らない原因は、売上よりも「棚卸」にありました。
その棚卸を「自分でコントロールできるストック」に変えれば、お金の流量が増え、次の一手に余裕が生まれます。
まずは一歩、棚卸診断から始めてみませんか?
お気軽にお問い合わせください!