飲食店の「お金」の悩みは売上では解決できない!
飲食店では、製造と販売を同時に行っているので
売上に至る過程が多く
「お金」がいろんな形態に変化しながら店内にとどまっています。
ちょうど、血管にへばりついたコレステロールの様な感じです。
コレステロールがへばりついている状態のままだと
売上が増えているのにお金がない!
って事態が起こります。
勘違いしないでください。
「お金」の悩みは、売上では解消できません!
それどころか、売上が増えれば増えるほど
コレステロールが増えるので
ますますお金が無くなります。
まずは、コレステロールを消滅させて
お金の流れをよくしてから、売上を増やしましょう。
この順番でやれば、お金は増えます。
本記事では
コレステロールの主因である、ストック(在庫)について見ていきます。
え、ストック(在庫)に適正値なんてあるの?
そう思ったあなたは、是非この機会に判定してみてください。
棚卸量とは、ストック(在庫)で何日分の売上を賄えるかを計算したものです。
そもそも、飲食店のストック(在庫)は、災害時の非常食じゃないんだから
そう何日分もない筈です。
では、実際に計算してみましょう。
棚卸量の計算方法
必要な数字は
- 当月末棚卸高
- 当月の原価率
- 当月売上高
- 当月の営業日数
近々の試算表をお手元に準備して
(当月末棚卸高 ÷ 当月の原価率) ÷ (当月売上高 ÷ 当月の営業日数)
を、計算してみましょう。
詳しくは、コチラの記事をご覧ください。計算例も記載してありますので
ざっと一読してもらえば理解してもらえます。
いかがでしたか?
【5日以内】でしたら、適正値です。
これ以上増やさないように心がけてください。
【5日超】の場合は、過剰在庫です。
以下の記事を参考にして、適正値を目指しましょう。
ストック(在庫)が飲食店経営を圧迫する理由
購入した食材の代金は、その食材が原価になるか腐らして破棄されるかに関係なく
購入時又は、決まった日付で〆られ、翌月に支払われます。つまり、先払いです。
↓
月末にその食材が残っていれば、その食材費は、今月の売上原価ではなく棚卸です。
↓
ストック(在庫)は、一見、食材の残りでしかありませんが
財務的に考えると⇒お金は出て行ったけど、それに見合う売上入金がまだの
未収入金の塊です。
貯『金』なら腐りませんし、僅かながら利子も見込めますが
貯『食材』は腐るだけ。
腐った食材を見つけたら破棄しますよね。
食材の破棄は、財務的にはお金をドブに捨てるのと同じ意味です。
つまり、破棄が増えれば増えるほど
お金がドンドン捨てられているってことです。
これでは、どんなに必死に集客しても
その努力が水の泡となります。
まずは、適正な棚卸量を目指してストック(在庫)を減らす
ストック(在庫)を減らせば
- 破棄が減る
- 店内のコレステロールが減りお金の流れが良くなる
ことは理解していただけたと思います。
では、どうやってストック(在庫)を減らすのかを具体的に見ていきましょう。
ポイントは2つ
- 上手な仕入
- ストックを増やさない食材の管理法
1.上手な仕入
正直言って、破棄ゼロは難しいと思います。
ですから、目指すのは、「上手な仕入」です。
「下手な仕入」の事例
『1個買うと1000円だけど、2個買うと1500円』って売り文句を聞いて
1個でいいのに2個の購入を決める。
この時、頭の中では「1個当たり250円も原価を抑えられた!」
っと計算しているはずです。
気持ちは判りますが、これは下手な仕入の典型です。
2個とも売上に貢献して初めて上手な仕入をしたことになります。
もう少し分解して見ていきましょう。
もしこれが、1個消費するのに1ヶ月かかるとします。
2個目の封を開けた時点で購入から既に1ヶ月経っています。
その間、業者で温度管理等完備されていた倉庫で
保存されていたならまだしも
あなたのお店の倉庫で保存されていたんですよ。
フツーに考えて
封を開けた時点で、多少なりとも劣化していると判断できますよね。
でもって、その状態から使い切るまでにもう1ヶ月・・・
もしかしたら使い切る前に破棄されるかもしれませんよね。
って考えたら、多少割高であっても適量をこまめに購入する方が
結果として原価を抑える、上手な仕入ってことになります。
2.ストック(在庫)を増やさない食材の管理法
これから紹介する、食材の管理法を実践してもらうと
- 食材の所在が判り易くなる
- 誤発注が減る
- 誰でも、指示された食材を探すことができるようになる
準備がチョット大変ですが、軌道に乗ると効果はすぐに実感できます。
0.事前準備
事前に
- 業者・形状・使用頻度等を考えて、全ての食材の置き場所を決める
- 100均などでマグネットシート、仕切り板、タッパーなどを購入する
- 頻繁に購入しない食材は、劣化防止の観点から、容量を小さいものにできないか調べる
1.食材を減らす
私は、この方法を実践するベストタイミングは
お盆休み等の長期休暇前だと思っています。
この時期は、生鮮食料品は腐りやすくなっていますので
そもそも余分に購入はしていません。
あとは、生鮮食料品以外の食材
例えば、調味料の類を極力減らしていきます。
使い切るくらいの意気込みで、減らしてください。
発注の必要がありそうな場合も、家庭用でつなぐなりして
業者への発注は、お休み明けにしてください。
やってみると判るのですが、意外に、なんとかなります(笑)
今までのようにストックしなくてもやっていけそうな気になります。
で、長期休暇前に、食材を保存するスペースを掃除します。
計画的に食材を減らしてないと、掃除自体が苦行になります。
くれぐれも、生鮮食料品以外の食材は極力減らしておいてください。
2.食材を定位置に収納する
事前に決めた置き場所に
準備したマグネットシートや仕切り板などを使って
表札付きの指定席を確保します。
指定席を確保することで、余分にストックすることができなくなります。
又、残量が一目で分かるので、誤発注を防ぎます。
(注)どんなにスペースが空いているからと言って
指定席以外の場所には置かない。
この方法に慣れてくると発注者は
表札の下のある量を確認して注文をするようになります。
仮に、隣の食材が仮置きしてあっても
指定席の食材があるものと思い込んでしまい
注文を先延ばしにする可能性があります。
実際に使う段になって、隣の食材だった!ってことで
欠品が出る可能性があります。
空席には、空席の意味がありますから
勝手に他の物を置かないルールを徹底してください。
コレステロールを減らして健全な経営を目指す
ストック(在庫)に圧迫されず、お金を増やせる飲食店経営を目指すなら
当たり前ですが
必要なものを必要な分だけ仕入れる
に限ります。
これが徹底できれば
食材の破棄が減り
余分な保管場所も不要になります。
理想を言えば、取引業者の倉庫を上手に使うイメージなんですが
最近は、配達の条件が厳しくなっています。
ある程度業者さんを絞って
配達条件の交渉をしてみてもいいと思いますよ。
最後に
そもそも、お金に悩む飲食店さんは多いです。
その打開策として
売上を増やそうとして必死で集客をするのも一つの手段でしょう。
しかし、この記事で紹介したように
他人(お客さん)の都合で左右される売上に頼るより
自分でコントロールできる棚卸で解決した方が取組やすいと思いませんか。
もう少し詳しく知りたい
自分のお店の場合はどうなんだろうか?
っと気になった方は、お気軽にお問合せください。